都市と公園

東京の公園について調査中です。暫定的な結論は間もなく。

考察

公園の特性が如実に街柄と関係している点がいくつも見つかった。1つとして、子供の多さは公園の特徴や数に反映されている。子供が多いとみられる勝どきでは遊具主体の公園が主となり、南砂で目の前に小学校と児童館がある公園は鬼ごっこなどに使えそうな広場や凝った複合遊具があった。逆にサラリーマンが行き交う御茶ノ水オフィス街エリアは公園という形態でこそなけれ、公園の設置を1つの手段としてサラリーマンの憩いの場となるような街の設計が進んでいた。行政で公園を設置・設計するにあたり周囲の利用者の層は相当意識されるものと考えられる。

また、南砂町などで強く意識されたのが、公園の整備度は街の整備度と正の相関があることだ。駅付近の高層マンションやショッピングモールが立ち並ぶ再開発エリアでは、需要に応じてか行政が公園の整備を勧めていた。対照に、荒川沿いの少し寂れた町工場や築年数の古い建物が並ぶエリアは遊具にも錆が目立ち、緑も少ないなど、寂しい印象を受けた。

また、銀座では、近くにある日比谷公園によって憩いの場としての機能が、デパート等によって待ち合わせの場所としての機能が果たされているなどの要因で公園の数が少なくなっている。夜間人口が少なく住まいを置く住民が少ない御茶ノ水文化エリアも公園の数が少なかったことを勘案すると、そもそも街として公園の必要性が低いと極端に数が少なくなると推論できる。

公園は往々にして街の発展に寄与し、その利用者の数や層に合わせた機能を持っている傾向があることが明らかになった。

このように、結果として公園の特徴や数が街の性質を反映したことは明らかになったものの、当初の目的であった人口などのデータとの比較による定量的で横断的な観点、そもそもその場所になぜ公園ができることになったのかという歴史的な観点などが抜け落ちている。歴史的な観点とは例えば、もともとどういう土地だったかなどである。今後定量的な関係を明らかにするにあたり、こうした観点は考慮に含める必要が出てくると思う。